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    ├ Books (本) 過去ログ P2, 2014 / 7月~
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Date:     2014/12/31 (WED)

Headline:     2014/12 後半(16~31日)に読んだ本

Contents:
    未読書既になく、また、普通なら常時 5~15冊程度ある要購入本リストもほぼ空白。 何故か読みたい本もなく、息子が高校時代に読んで置いていった、 村上春樹、伊坂幸太郎、石田衣良など、 自分では買えへんよなぁってな作家の本を多量に読むことになるのか?。 知的好奇心が知らぬ間に失われているようで自分自身に不安かも。 青空は源氏に着手したが、さて、読み切るのにどれほどの期間を必要とするでしょうか、請うご期待。 (実は青空は、レ・ミゼラブルが道半ばで挫折中なんですが、これは置いといて源氏にチェンジ。)

(1)未闘病記 / 笙野頼子 / 講談社
    芥川賞作家による膠原病の闘病記的な随筆。 表現は難解だが、病を畏れ、また、茶化して遊ぶ著者のぶれがよく著されていると思う。 が、闘病記としてはたぶん失格で、純随筆として読んだ方がより著者の意図に適うか。

(2)三国志 / 吉川英治 / 青空文庫
    合間を見つけて電子書籍で読んでました。 いろんな種類の人物が登場して戦国物語が織られており、なかなか面白い。 何の裁きもなく直ぐに部下の首を刎ねる大将、土着の感覚が薄い民百姓、 舌先三寸で重用される論客、権謀術数あたりまえで寝返りは日常茶飯事。 昔に演戯訳本を読んだのは中国経験前で今一つピンとこなかったが、 中国在住経験後の今読むと、なるほど、理解不能な巨大人治国家たる現代中国に通じる部分が多々あるようだ。 やたら長いんで (異様に分厚い文庫本 3冊分) 途中で面倒くさくなってしまう時もあったが、 さほど頭を働かせる必要もないんで楽しんで読み切りました。 でも、演戯訳本の方がたぶん面白いです。

(3)昆虫はすごい / 丸山宗利 / 光文社新書
    ヒトが高度な知的行為として行っているほとんどのことは、 既に自然界の昆虫は昔から普通に行っている。 知的行為とは言っても大抵は高が知れているようで、驕ってはいけませんね。

(4)あなたは生まれたときから完璧な存在なのです。 / 鈴木秀子 / 文春新書
    昔の僕ならば、絶対に読まない類の表題。 要購入本リストに書き込んだ時に躊躇した記憶もあり。 今の僕には必要ないかなって感じです。 でも、世の中にはこの類の本を必要としている人がいるのだろうと思う。

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Date:     2014/12/15 (MON)

Headline:     2014/12 前半(1~15日)に読んだ本

Contents:
    もしかすると 10月後半を下回り、今年最低の成績かも (泣)。

(1)浮浪児1945- / 石井光太 / 新潮社
    戦後上野に集まっていた浮浪児たちを調査した報告。 比較的私見が入っておらず、まぁ、結構面白い。 戦後はほとんどの子供が浮浪児であったような錯覚を受けてしまい、 そりゃちゃうやろって自分で笑ってしまいました。 我々の父母の世代は戦争のため大変な思いをしてきたという一端がうかがえます。 やはり戦争は絶対悪であり、許されません。

(2)祖父の流儀 / 鳥越俊太郎 / 徳間書店
    概ね表題から想像できる通りの内容。 有名人ともなると、こういう本も出せるということですね。 確かに冒頭に、依頼されたから書いた、ってな流儀に反する言い訳がありましたが。

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Date:     2014/11/30 (SUN)

Headline:     2014/11 後半(16~30日)に読んだ本。

Contents:
    あんまり読んでないような気もするが、、、。こんなもんかなぁ。

(1)牛を屠る / 佐川光晴 / 双葉文庫
    北大法学部卒の著者が屠畜場で 10年勤務した体験記。 作業やその難しさ、働く人たちの様子も含めた屠畜場の紹介的内容が、比較的淡々と書いてある。 肉屋やスーパーで目にする牛肉豚肉はこんなふうに屠殺されて市場に並ぶのかってことを、 ほぼ初めて意識しました。

(2)結婚 / 橋本治 / 集英社
    28歳未婚女性の主人公に結婚観をだらだらと語らせた小説。 著者の中高年男視線が隠しきれておらずかなり違和感がある。 これが小説としてなりたつとは、、、。

(3)洗脳 / Toshl / 講談社
    カルト教団に洗脳されて 10億円以上もだまし取られてしまった有名人の告白書。 著作としての完成度は低いが告白としての真実はありそう。 外から見ると明らかにおかしいのに何故洗脳されてしまうのか、という構造的なところはよく判らないが、 現実に洗脳されてしまった人物が語る被害者側の実態はなかなかの迫力。 下衆な興味本位で買った僕のような読者の期待を超えた一冊。

(4)女はいつからやさしくなくなったか / 中野節子 / 平凡社新書
    面白いです。 江戸初期~中期に女性の社会的あるべき姿がどのようなものとされ、 どのように変遷してきたかの研究結果が述べられている。 源氏物語、伊勢物語の時代には "仁" に反しない限り女性の性愛はむしろ良しとされており、 その上に "艶 (やさ) しさ" が形成されてきたようだ。 江戸期になって儒教思想が入ってくると貞操観念が変化してくるが、なお従来の "仁" は残って、 思想的なこじつけを経ながら現在の貞操観念に近いものが形成され、"優しさ" も変化してきたらしい。 現代女性の行動と照らし合わせながら、 女性のあるべき姿の矛盾を考察してみるのもまた面白そうである。
    源氏物語、伊勢物語も機会があったら読んでみたくなった。 (もちろん、現代語訳で。)

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Date:     2014/11/15 (SAT)

Headline:     2014/11 前半(1~15日)に読んだ本。

Contents:
    低調。 半沢直樹いっぱい見てたんで??。

(1)臨床憲法学 / 笹沼弘志 / 日本評論社
    法曹関係者向け雑誌「法学セミナー」の連載コラムをまとめたもの。 フィールドワークレポートかと思って買ったのですが、サンプルベースの法理論考察でした。 生活困窮者の生活保護申請を窓口担当者の独断で受け付けさえもしないことが合法なのか?。 ホームレスの生活財産である段ボールを無価値なゴミと決めつけて行政が強制撤去することは許されるのか?。 野生動物の生活を侵害する自然破壊を伴う事業に対し野兎や熊たちには差し止め請求権はないのか?。 裁判所はこれらを憲法の射程の問題と捉え、 射程外にある "もの" 或いは "権利" には憲法の保護は及ばないと判示して現実追認してきた (実際の判決内容はもっと複雑なようですが)。 裁判所のこの姿勢は、憲法射程の再帰性を誤った方向に導くと疑問を投げる。 前2例は今でも射程内であるはずだし、最後の例も将来的には射程に入れる方向に (少なくとも "方向" は) 再帰性が働くべきという。 憲法は、射程外であった黒人、女性などの "もの" や、参政権、プライバシー権などの "権利" を再帰的に射程に取り込む方向に発展してきたのであり、 この方向性こそ裁判所は堅持すべき。 ちょっと難しかったんで、時間も頭も使ってしまいました。

(2)反福祉論 / 金菱清・大澤史伸 / ちくま新書
    法的セフティーネットには "枠" がある。 救済を必要とする人を漏れなくカバーするにはその枠をどう規定するか、 という方向で福祉は進められてきた。 しかし、その枠は内在的であるがゆえ取り払うことができず、"枠外" も必ず存在する。 本書は発想を変え、現在枠外にあって救済を必要としている人々が既に現実に実践してきた自己救済から、 社会の在り方を考え直そうとするもの。 物事を裏返して見てみるってな発想自体は目新しいものではないが、 この手の裏側目線の研究は社会の発展に必要なものだろう。 でも、後半部分は論理が飛んでて焦点不明だし、正直言って、この本つまんないです。

20141115yappari (3)やっぱり九条が戦争を止めていた / 伊東真 / 毎日新聞社 (写真)
    有名司法試験予備校カリスマ校長が、 日本国憲法の先進性を説き集団的自衛権行使容認へ向かう行政の暴走を糾弾する本。 九条 2項「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」 ことがいかに先進的で国際平和に寄与するかが判りやすく書かれている。 軍隊は国を守る組織であるが故、戦時には国民たるあなたを犠牲にして国を守ってくれます。 その通り、軍隊に限らず実在の組織 (特に男性中心の) が防衛するのは組織であって構成員ではないんです。 こう考えていくと九条の平和思想は、組織にではなく人に共鳴する女性的感性に親和的かもしれない。 国際問題はよく判りません って思っている女性に是非読んでほしいです。 人口の半分は女性ですから、女性の力で戦争を撲滅できるかもしれません。 おばちゃん親和力強い僕は、積極的非暴力平和主義を良しとする著者の意見に全面的に賛同します。 (著者は男性で、本著内容もむしろ男性目線なんですが、まぁ、細かいことは気にしないでね。)
    その他、「憲法は国民が政府を縛るもの、法律は政府が国民を縛るもの、 憲法と法律は矢印の向きが逆なんです」っていう、立憲政治の基礎の基礎が書いてあります。 そしてそれが実際に、良政のアクセル、悪政のブレーキ両方に寄与していることも。 学者ではない "憲法おたく" が著した良書。 でも、第 2部は集団的自衛権の個別事項に絞ってこちゃこちゃ書いてあるんで、 読むの面倒くさいです。 第 1部だけ分離出版されて学校の教科書になったらいいな って思います。

(4)「サル化」する人間社会 / 山極寿一 / 集英社インターナショナル
    京大新総長からの現代社会に対する警鐘。、、、 なんですが、霊長類の研究結果をソフトに書いただけ って感じで、 危機啓発の書としては物足りない感が否めません。 もしかしたら単なる表題のミスリード (misread) で、本当は警鐘ではないのかもしれませんが、 潜在の危機意識は 2014/7/15 紹介の「そして最後にヒトが残った」で言及されている、 "グローバル化とは Innovation の否定にほかならず、生物としては誤った道" との指摘に重なる部分がありそうです。 今までの人類進化の歴史はこの先本当に退化へと向かってしまうのか、 ヒトがもはやヒトでない別種に進化する超未来までを想像しながら今を考える感じ、いいじゃないですか。 世界の明日を担う若者を育てる中核大学の総長として、 彼らをミスリード (mislead) しないよう "超" 未来を見据える著者の立ち位置が垣間見えているかも?。 妻は以前に著者をテレビで見たことがあるらしいんですが、この人絶対女性にもてる って言ってました。 だから何?。

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Date:     2014/10/31 (FRI)

Headline:     2014/10 後半(16~31日)に読んだ本。

Contents:
    注文した本がなかなか配送されなかったんで、2冊とも家にあった本です。 内容の濃さを考慮すると今年最低の成績と思われます。 あかんなぁ。

(1)死ぬ気まんまん / 佐野洋子 / 光文社
    童話「100万回生きたねこ」の作者によるエッセイ。 乳がんが骨に転移した後の、ある種の覚悟みたいなものが緩い表現で綴ってある。 しかし、内面はそう緩くもなさそうで、表題のように明るい感じはないです。 と思ってたらあとがきに、表題は内容と関係ないってなことが書いてありました。 その他、医師との対談、がん以前に神経症になった時の随筆を収録。 "覚悟" の語感には潔さと美しさがあると思うが、十二分の潔さと五分の美しさってな印象。 僕の覚悟はどうかなぁ。 もう少し経ってから考えましょうか。

(2)こまった人 / 養老孟司 / 中公新書
    養老先生のつぶやき時事コラム集みたいなもの。 壁シリーズのようにテーマに沿って展開されているわけではないので、統制が取れていない印象。 発注した本がやっと到着し、次からは読もうと思った本が読めます。

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Date:     2014/10/15 (WED)

Headline:     2014/10 前半(1~15日)に読んだ本。

Contents:
    ぼけっとしてたら読む本なくなってました。 そのあと Net で 14冊注文しましたが、まだ到着しません。

(1)シャバはつらいよ / 大野更紗 / ポプラ社
    難病の若い女性の日記みたいなもの。 前前回紹介の「困ってる人」の続編。 感想も前に同じ。

(2)大岡越前 / 吉川英治 / 青空文庫
    娯楽時代小説。 ちょっとした合間に電子機器で読んでました。 娯楽時代小説なんで書評はなし。

20141015shinokabe (3)死の壁 / 養老孟司 / 新潮新書 (写真)
    ベストセラー バカの壁 の続編 (再読です)。 本書の思惑はたぶん 2つある。 一つは、柳の下の 2匹目のどじょうでもう一儲け。 もう一つは、前作はヒットしたものの 実は難しすぎて大方の読者が本当は理解できていなかったことが判ったため、 本作でなんとか補足したろうとの意図。 2つ目がメインでしょう、前作に比べ格段に判りやすく書かれています。 僕でも理解できそうです (笑)。 とは言ってもよくよく読めば全体的にはまだまだ難解。 もう一度前作から読み直す必要があるかも、、、?。 でも、まあ、2匹目のどじょうはしっかりゲットのようです。

(4)ホテルローヤル / 桜木紫乃 / 集英社
    最近の直木賞受賞作。 直木賞系の作品は敢えてあまり読まないようにしているんですが、 発注時期を誤って読む本が途切れてしまったので何故だか家にあったこの本を読んでみました。 ラブホテルに絡んだ人間ドラマっていうんでしょうか、 直木賞受賞作だけあってうまく構成されていて面白かったです。 でも、何故だか直木賞系の作品は読み終わったらすぐに内容全部忘れてしまって、 何にも残らないんですよね。

(5)超バカの壁 / 養老孟司 / 新潮新書
    ベストセラー バカの壁 の続続編 (これも再読)。 養老先生、自分の言いたいことが全然理解されていないのでよっぽど頭にきつつ、 も少し儲けたろって考えはったんでしょうか?。 内容は前 2作とほぼ重複してますが、格段に解りやすく書いてあります。

(6)他人を攻撃せずにはいられない人 / 片田珠美 / PHP新書
    発注した本が来ないんでこれまた家にあった本を読んでみました。 よく行く本屋でベストセラー 2位だったんで妻が買った本ですが、厳選して買ったほうがいいかも、、、?。 まぁ僕は、厳選しなくてもいい派です。

---- ここから下、がんの本 ----

(7)今からできるがんに克つ体の鍛え方 / 星野泰三・松島修司 / 青月社
    まあ、言うたら免疫療法の本。 忍者の煙幕を言葉にしたらこんな本になるんでしょうか? (笑)。   「はぁ、しゃぁないなぁ」ってのが妻と僕の共通した感想。

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Date:     2014/9/30 (TUE)

Headline:     2014/9 後半(16~30日)に読んだ本。

Contents:
    本棚の空きがなくなってきたんで、いらん本売ってきました。 正確には数えてませんが、たぶん 80冊ちょっとでしょうか (ほぼハードカバー)。 「本は厳選して買うこと、重すぎ!」って妻が怒ってました。 (僕は腰痛いんでほぼ妻が運び役!)
    さて、読む方はと言えば重たくない本ばかりのはずなのにあんまり進んでません。 10月初の臨時同窓会 (大学) に気が向いてしまって、、、 んっ、そりゃ関係ないやろ!?。

(1)境界の町で / 岡映里 / リトル・モア
    3・11 後の福島浜通りの取材記みたいなもの。 残念ながらほぼ中身ないんでコメント難しいです。

(2)身体を使って心をおさめる修験道入門 / 田中利典 / 集英社文庫
    山伏兼僧侶が書いた修験道入門書。 まゆつば論法には苦笑してしまうところもあるが、ある意味結構面白い。 20140930bakanokabe 犬鳴山もちょろっと登場するんで、その異次元ワールド (日記 2014/3/31 参照) を思い起こしつつ読みました。

(3)バカの壁 / 養老孟司 / 新潮新書 (写真)
    つまらん本が 6冊も続いてしまったんで、ここでまともなのを一冊再読してみました。 新書でベストセラー、つまり、つまらん指標は MAX なのに、実はつまらなくない希少種。 ニーチェの言う "全ての価値転倒" に親和的と見るのは解釈が過ぎるかもしれないが、 "あべこべ現象" がいろいろな例示とともに説明されており、 よく判らない点がいくつか残るものの概ね著者の見解には首肯できます。 「"情報は常時更新されて変わっていくが人間は不変だ" などと現代人は大きな勘違いをしているが、 実際に不変なのは情報であり常に変化しているのは人間の方である。 例えば、あなたががん宣告を受けたなら今咲く桜もその時点から違って見えるだろうが、 実際は桜は何も変わっておらずあなたが変わったからそう見えるのです。」 まあ、確かに理解しやすい一例ではあるでしょう。 でも、言わしてもらえば、がん宣告の前も後もほとんどの景色が僕には同じに見えちゃいましたよ。 判りやすい部分もあるにはありますが、 ベストセラーになったとは思えないほどテーマは重く実は難解。 20140930kuronekonohitai おもろい題名付けてみたからおもろないけど読んでみよ、ってのが著者の本心でしょうか?。

(4)黒猫のひたい / 井坂洋子 / 幻戯書房 (写真)
    老 (と言っては失礼か) 女性詩人による生と死についての随筆、というより詩的散文。 詩となると、ほとんどの場合著者と僕の感性がすれ違ってしまって接点を見出せないのだが、 散文なら二人の距離と方向を補正できることがある。 とは言え補正してなお解消できないすれ違いが残る著作が多い中、 全面的にではないにせよ感性を共有できる書に久しぶりに出会えました。 死との距離を意識する立ち位置でなかったとしても、たぶん共感できたのではないでしょうか。 内分泌療法で男性ホルモン完全ブロック状態なんで、女性的感性との親和性急上昇!??。

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20140915jibunnokabe
Date:     2014/9/15 (MON)

Headline:     2014/9 前半(1~15日)に読んだ本。

Contents:
    結構暇だった割にはあまり読んでません。

(1)「自分」の壁 / 養老孟司 / 新潮新書 (写真)
    なんちゃらの壁シリーズの近著。 東大医学部解剖学のせんせから全ての日本人へのメッセージ。 柔らかい語調で書かれているが最終章で読者は生き方を厳しく指導される。 考えに筋が通っておりぶれてないんで読んでいて心地よいです。 説教されてもむしろ嬉しい感じのこの手の "年寄り" がほとんど絶滅してしまった今、 発信力ある老教育者から送られたこの一冊には価値があります。 個人的にはもっと厳しく書いたらいいのにって思いますが、そんなことしたら売れないんでしょうね。 売れないと説教も届かないし、、、。

(2)困ってるひと / 大野更紗 / ポプラ文庫
    難病を患う若い女性の闘病苦労日記。 著者は大変困っている。 しかし、、、本著作の意図は何だろう?。 単なる日記なんで特に言いたいことはないのかも。 でも、確かにこの著者は大変で且つ困ってます。
    因みに僕のホームページの意図ですが、 闘病記 Fight で同病の方とその周囲の方へ情報提供し、 日記 Diary で『迷ったら、やる!』が実践できているか反省し、 本 Books で "読んだ本リスト" を作って知的好奇心が失われていないか自己検証しているんです、、、 ってね??。

(3)テキヤはどこからやってくるのか / 厚香苗 / 光文社新書
    なんやら中途半端な風俗調査発表本。 いろいろフィールドワーク的なことはしているようなんですが、 それが整理されるわけでもなく雑然と羅列されただけっていう印象です。 経験則上新書の 9割は駄作と思っていますが、9割側の代表事例です。

(4)神や仏に出会う時 / 大喜直彦 / 吉川弘文館
    自然と共生しながら暮らす日本人の宗教観についての研究発表本。 思ったよりはおもしろい部分もあったのですが、調査結果の単なる羅列に過ぎない点は前に同じです。 しかし、出版目録見る限りではこの吉川弘文館っちゅう出版社、なんやらカルト的なような、、、。

---- ここから下、もしかしてがん関係の本? ----

(5)「ニセ医学」に騙されないために / NATROM / メタモル出版
    もう大丈夫なんですが、僕へのがん宣告直後暫くの間、妻は "幸福の壺" の類まで買ってしまいそうな勢いで僕を心配してくれていました。 確かに家族が重病になって治らないって宣告されたら、 壺はともかく、インチキ療法に頼りたくなるのも無理ないかもしれません。 頼る術がなくなった人に心の安寧を与える宗教的側面がインチキ療法にないとは言えませんが、 著者が言うとおりやっぱそれはいかんよな、って思います。 騙される人はこれ読んでも結局は騙されるんちゃうやろか?、って思いましたが、 少しでも騙される人は減ってほしいです。 今でも妻は時々怪しげな新聞広告を見て僕に「これどうやろ」っていうことがありますが、 「幸福の壺?」って聞き返すとありがたいことに概ね正気に戻ってくれます (笑)。
    もちろん、妻は今でも正しく僕を心配してくれています (感謝!)。 この本に壺の話は出てきませんが、インチキ療法の構造は壺と同じです。

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Date:     2014/8/31 (SUN)

Headline:     2014/8 後半(16~31日)に読んだ本。

Contents:
    未読書がなくなったんで次 8冊ほど買いました。 今回は低調。 写真もなし。

(1)イワン・デニーソヴィチの一日 / ソルジェニーツィン(訳:木村浩) / 新潮文庫
    実はソルジェニーツィンはこれが最初の一冊なんですが、 なるほど、世界が衝撃を受けたと言われる名作だけあってこれはすごい。 収容所の暗い一日が描かれているのだが、不思議と希望が見えるような気がする。 絶望の中における生への賛歌ですね。

(2)山下清と昭和の美術 / 服部正 藤原貞朗 / 名古屋大学出版会
    山下清氏とその時代背景との関係を考察した研究発表書。 山下氏の貼絵その他の作品は美術界から美術品とは見られていないらしいです。 美術品ちゅうのは美術評論家とかいう人々がもっともらしく能書きを垂れて評価が決まっていくらしいです。 見た人、触れた人が自由な感性で好きに鑑賞したらいいと僕は思うんですけど、、、。 なんか、面白くなかったです。

(3)MAKINO / 高知新聞社編 / 北隆館
    日本の誇る植物学者牧野富太郎氏の足跡を追った書。 明治維新前生まれの学歴なしとは全然知りませんでした。 生涯フィールドワーカー MAKINO はちょっと困ったおっさんだったようです。

---- ここから下、がんの本 ----

(4)がん患者 / 鳥越俊太郎 / 講談社
    がん闘病記。 ふーむ、このおっさん、なんやら思考回路が僕と似ているような。
    ここまでの有名人になるとがんハラスメントは受けないようだが、僕は受けている。 そして、僕が直接間接に知っているがん患者の何人かも受けている。 この辺りを非有名人がん患者からの発信情報の核にすべきなのかもしれない。

---- がんの本、ここまで、ここから下、青空文庫 ----

(5)銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治
    ご存じ、多くの日本人から極めて高い評価と共感を得ている作品。 何度か読んでいるはずなんですが、僕には未だに理解も共感もできてません。 妻は絶賛ですが。

(6)草枕 / 夏目漱石
    こちらもご存じ、文豪の名作。 冒頭があまりにも有名だが最終章がよい。 斜に構えているようで、実は正対視点で書かれた純な随筆風小説だったんですね。 ちょっと作為的に過ぎる最後の 3文はない方がいいかも??。

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Date:     2014/8/15 (FRI)

Headline:     2014/8 前半(1~15日)に読んだ本。

Contents:
    小山となっていた未読書籍も遂にあと 3冊!。 ぼちぼち次買うかな。 今回は写真を載せたい本なし。

(1)剣の法 / 前田英樹 / 筑摩書房
    新陰流の修行を積んだとする著者による技の解説書。 図解すれば百倍判りやすいところをすべて文章で説明しようとしており、 論文発表が仕事の一部であるはずの大学教授が著した書とは思えない新鮮な失望と落胆を感じた。 文章を 3次元画像に展開する想像力の練習にはなるかも。

(2)教誨師 / 堀川惠子 / 講談社
    最近亡くなった教誨師のドキュメンタリー。 修飾なしのドキュメンタリーにすればいいものを、読者受け狙いの陳腐な修飾が盛り沢山で面白さ半減です。

(3)飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ / 井村和清 / 祥伝社黄金文庫
    昔、TVドキュメンタリーが放送されていたような記憶があります。 若くして亡くなった医師の手記。 外では読めないです、泣いちゃうんで。 なので盆休みに家で読みました。

(4)難病カルテ / 蒔田備憲 / 生活書院
    ある新聞社地方版の連載コラムを再編したもの。 一回読切で次の患者に移っていく構成なんで掘り下げは甘いんですが、読者としてはそれで救われる面もある。 希望がある人もない人もいるのだが、何れにせよ僕が自身を諦める必要は全くない!、と再認識。

(5)おじさんの哲学 / 永江朗 / 原書房
    自分の好きな評論家を作者が緩~く語った本。 この手の本は気に入らないことが多いのですが、取り上げられている評論家を僕がほとんど知らないからか、 或は人に文句を垂れることが職業である評論家という人種を更に評論する二重構造だからか、 反発することなく読み切ってしまいました。

(6)ホーム / トニ・モリソン(訳:大社淑子) / 早川書房
    ノーベル賞作家による人種差別と戦争に病むアメリカの物語。 今の日本でも形を変えて存在し続ける類似構造があると思う。

---- ここから下、青空文庫 ----

(7)出家とその弟子 / 倉田百三
    恋愛と仏教をテーマとした有名な戯曲。 どこか少し焦点がずれているような感じがするのは、僕が無宗教だからだろうか?。

(8)上杉謙信 / 吉川英治
    川中島の合戦を軸とした中編時代小説。 若い時に読めばまた読後感も異なるのであろうが、押しつけがましいエピソードとその解釈には若干閉口。 まっ、楽しんで読んだんですが。

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Date:     2014/7/31 (THU)

Headline:     2014/7 後半(16~31日)に読んだ本。

Contents:
    比較的中身の濃い半月だったと思う。 がんの本は なし。

(1)アメリカン・スクール / 小島信夫 / 新潮文庫
    表題の芥川賞作品を中心とする短編著作集。 久々に読む芥川賞作品 (昔のですが)。 戦時中が舞台の作は救い難く理不尽で暗い。 戦争は絶対悪です。 抵抗できない理不尽に流されて壊れていくところに、もはや理性は何の意味もなさないことを誰もが知るべし。 でも、戦時中が舞台でない作には若干の救いがあります。

(2)辞書になった男 / 佐々木健一 / 文芸春秋
    国語辞書編纂の 2巨頭、見坊豪紀氏と山田忠雄氏の物語。 ちょっと知的な三面記事風で面白いです。 が、本来は彼らの情熱と努力、そして業績にこそ注目すべきですね。

(3)心を整える / 長谷部誠 / 幻冬舎文庫
    サッカー日本代表ゲームキャプテンの著書。 ブラジルワールドカップは残念な結果だったが、ナショナルチームのこの真面目なキャプテンは信頼できそうです。 彼も含めた日本の若者たちに期待したい。

(4)絶望の裁判所 / 瀬木比呂志 / 講談社現代新書
    裁判所の実態は精神的収容所群島であるとする、元裁判官による危機啓発の書。 自己の良心にのみ拘束されるべき裁判官が、イエスマンのみを重用する裁判所官僚組織に収容され、 事大主義のヒラメとなっていく。 僕の勤務先もレベルは低いが全く同じです。 ただ、そこのヒラメは裁判官と違って頭悪そうですが (笑)。
    ソルジェニーツィンの収容所群島、今、読もうと思っても読めませんね。 古書店探すか、街の図書館行くか、、、?。

(5)白夜の忌 / 竹岡準之助 / 幻戯書房
    最近亡くなった芥川賞作家三浦哲郎氏との交友を旧来の友が綴った書。 忍ぶ川、恥の譜 の著者三浦氏の人となりがある程度うかがえて面白いが、やはり三浦氏の著作そのものを読むに如かずです。

(6)数学-想像力の科学 / 瀬山士郎 / 岩波書店
    数学に興味を持てない学生が数学好きになれるように著された本らしいが、これはいかんでしょう。 題名に惹かれて買ってしまいましたが失敗でした。
20140731yoshinonagisa     経験から言うと、新書系は本書も含め 9割方駄書ですね。

(7)葭の渚 / 石牟礼道子 / 藤原書店 (写真)
    中年以降となると若い時とは感性が異なってくるようで、感銘を受ける本にはなかなか巡り会えないのだが、 近年感銘を受けた数少ない本の中の筆頭が、石牟礼道子氏の "苦海浄土" です。 日本語の美しさ、自然への慈しみ、公害への怒り、弱者への寄り添い、、、 神話的太古の昔の日本人の原点へと手を引かれていくような不思議な優しさ。 三島の硬質さ、芥川の繊細さ、川端の情緒、梶井の奇跡の心理描写 などの優れた日本現代文学の中で 彼女の不思議な優しさもしっかり輝いています。
    本書はその石牟礼氏の自伝。 彼女の感性がどのように育まれたのか、その背景がよくわかります。 でも いち押し とはいかないなぁ。 "苦海浄土" 執筆時はやっぱり何かが憑いていたんでしょうか?。

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Date:     2014/7/15 (TUE)

Headline:     2014/7 前半(1~15日)に読んだ本。

Contents:
    未読で積まれていた本がやっと半分くらいに減りました。

(1)去年の冬、きみと別れ / 中村文則 / 幻冬舎
    推理小説でした。 推理小説を読むのは久しぶりで一気に読み通してしまいました。

(2)しんがり・山一證券最後の 12人 / 清武英利 / 講談社
    内容は表題の通り。 ひでぇ 会社やなと思うと同時に、僕んとこも ひで~ょな って思っちゃいました。 しかし、そんな中でも信頼できる奴がやっぱりおるんですよね。 捨てたもんじゃないです。

20140715hitoganokotta (3)そして最後にヒトが残った / クライブ・フィンレイソン (訳:上原 直子) / 白揚社 (写真)
    ネアンデルタール人の滅亡とヒトの生き残りに関する本。 ちゃんとした研究に基づいて書かれているのだが、時代 / 場所 / 対象の生物 があちこち飛んで、とても判りずらい。 判りやすく書けば内容は面白いのに、、、残念。
    生物は環境周縁部の Innovative な孤立集団が環境変化に適応して生き残ってきた。 グローバル化で環境周縁部も孤立集団もなくなっている現在、Conservative となってしまったヒトには、 滅亡こそあれ存続はない。 グローバル化とは Innovation の否定にほかならず、生物としては誤った道なのである。 なるほど。

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(4)「がんもどき」で早死にする人、「本物のがん」で長生きする人 / 近藤誠 / 幻冬舎
    がん患者ならきっと誰でも知っている、がん標準治療に一石を投じ続ける近藤先生の著書。 「がんもどき」と「本物のがん」に明確な線引きができるとする著者の主張を全面的に支持するつもりはないが、 がん治療に関して未だ科学的に不明な点が多いが故、著者のような視点もありうるだろう。
    患者自身が納得して治療方針を選ぶこと、患者の周りの人がそれを認めて応援してくれること。 この 2つが満たされていれば、がん患者は幸せ。 "がん患者を幸せにしよう" というのが著者の主張であるとして読むと、素直に読むことができます。

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